圧倒的なコスパと失敗しやすい点
ユニクロがカスタムオーダースーツ(上下で税込み約24,000円)を発売したので買ってみました。
まず結論として感じたメリットとデメリットを書きます。
メリットは、圧倒的にコスパが良いです。
デメリットは、サイズで失敗しやすいです。
メリットについてですが、生地が高品質です。Super110という高級なウール生地を100%使っています。紳士服専門店に行ってSuper110でオーダースーツを作ったら安くても80,000円以上が相場でしょうか。ストレッチもきいて身体に馴染むし、裏地がポリエステルにしては滑りが良く着心地が快適です。
デメリットのサイズで失敗しやすい、についてですがユニクロカスタムオーダースーツの注文の流れから説明します。
まず、自分の身体にあった基になるサイズを選びます。そのサイズのジャケットを着て袖丈と着丈を指定するという流れです。指定できるのは袖丈と着丈だけです。腰回りや腕周りの太さなどは調整できません。もちろんボタンやポケットの形状なども指定できません。
単純なシステムではありますが、自分でこの3つのサイズ(1.基になるサイズ、2.袖丈、3.着丈)を選択するのは意外と難しいです。
僕はスーツもシャツもオーダーで作ってもらっています。
こだわっているというよりは、少し身体を鍛えているので既製服が入らなくて仕方無くオーダーしているという感じです。オーダーといっても1着数十万円するフルオーダーのスーツではなく、パターンオーダーやイージーオーダーという比較的低価格なタイプです。
何度かスーツをオーダーしたことのある僕でも最適なサイズを選ぶのは難しく感じました。股下はあと1㎝程度長いほうが良かったと思いますし、その他にもファッションの知識がある人が見ればおかしい点があるかもしれません。
店員さんも測ってくれるのですが、あまり慣れていない印象です。僕が買ったときの担当者はとても親切で感じの良い方でしたが、普段スーツを着る機会は少ない人だろうなと思ってしまいました。もともとカジュアル服中心の店ですから専門性を求めても仕方がないです。ファミレスで一流ホテルの接遇と味を求めるようなものです。ファミレスにはファミレスの良さがあります。
店員さんが詳しくないのは仕方ないのですが、普段スーツを着慣れない人がスーツを着慣れていない人のアドバイスを受けながらオーダースーツを作っても、既製服よりヘンテコな仕上がりになってしまう可能性があります。カジュアル服と違ってスーツは着丈や袖丈を2㎝間違うと致命的です。
普段スーツを着慣れていない人がユニクロでスーツをオーダーするときには、ある程度スーツの事を知っている友人・知人・家族に付き合ってもらい、一緒にサイズを決めてもらうのが良いと思います。
ところで、紳士服業界ではオーダースーツやカジュアルスーツに力を入れる会社が増えてきているようです。
オーダースーツに力を入れている会社の1つがコナカ・フタタで「ディファレンス」というブランド名でオーダースーツの専門店を展開しています。カジュアルスーツではAOKIの「パジャマスーツ」などがあります(個人的には「パジャマスーツってネーミングがちょっと・・・」と思ってしまいますが)。業界大手の青山商事は「ユニバーサルランゲージ」などを展開してブランドイメージの刷新とオーダースーツ販売に力をいれていますが株価は低迷し収益的にも苦戦している印象です。
経営的にみるとオーダースーツ・カジュアルスーツは吊るし物のスーツと比べて在庫数が削減できるでしょう。
通常スーツはカジュアル服に比べてサイズを細かく揃える必要があるので在庫を抱えがちです。カジュアル服ならS,M,Lで良いところを、スーツの場合はSのYタイプ、SのAタイプ、SのABタイプといった感じに数倍のサイズバリエーションが必要になります。それだけスーツはサイズが合っていないと着た感じがおかしくなる難しい商品ということです。
オーダースーツだと店頭の在庫を減らして注文を受けた分を工場から直送することができますし、オフィスカジュアルだとサイズバリエーションを少なくすることができます。
もともとクールビズなどでスーツ需要が減少していたのに、コロナで在宅ワークが増えてスーツの在庫回転率は更に悪くなり、各社はいままでのビジネスモデルを転換する必要性に迫られています。
このようなオーダースーツ大競争時代にユニクロが圧倒的な低価格高品質で参入したのですから、今後業界がどうなっていくのか目が離せません。
さて、毎年入学シーズンになると高すぎる学校の制服購入代金に不満を募らせる親が日本全国にいます。
特に義務教育や公立学校で高額な制服や体操服などを強制的に買わされるのはどうかと思います。
学校の制服もユニクロに作ってもらったら低価格・高品質になって親は大助かりするかもしれませんね。
最後に、仕事には絶対スーツ着用、スーツを来てないのは仕事に対する意識が低い、といった考えや雰囲気には疑問を持ちます。
ときどきイノベーション推進や多様性推進といったテーマの会合で、全員黒色のスーツに黒い革靴・白シャツにネクタイを着用した中高年男性だけで議論されているという
風景を見ます。自己矛盾を逆手に取った冗談かなと思ってしまいます。
身なりで相手に敬意を払いつつも、自由に議論できる雰囲気と場に合わせた服装を心がけたいと思います。
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