3タイプ別 脳の乗りこなし方と人材育成 〜人生とは「選べない愛車」を乗りこなす旅〜
- 林幸一郎

- 2025年12月13日
- 読了時間: 6分
はじめに:努力はできるのは「才能」か「脳のタイプ」か?
現代のビジネス環境も人材市場も、かつてないほど残酷な「強者総取り(Winner-takes-all)」の様相を呈しています。
経済市場も人材市場も恋愛市場も高スペックな少数者が総取りする厳し過ぎる競争と格差。
経営の現場では、こんな悩みが尽きません。
「あいつは言われなくても勝手に成果を出すのに、こいつは何度言っても動かない」
「自分と同じ熱量を部下に求めたら、彼らが潰れてしまった……」
これは単なる「やる気」や「根性」の問題ではありません。
最新の脳科学の知見をビジネスに応用すると、これは生まれ持った「脳のタイプ(スペック)」の違いによる、生存戦略のミスマッチだと分かります。
人は自分を何かに分類することで安心感や納得感を得ます。
今回は、私がコンサルティングの現場で活用している、人間を「3つの脳タイプ(車種)」に分類するフレームワークをご紹介します。
あなたは燃費最悪だけど爆速の「スーパーカー」ですか?
それとも、超低燃費で走り続ける「エコカー」ですか?
人生とは「選べない愛車」を乗りこなすこと
私は普段、経営者向けのセミナーでよくこんな話をしています。
「私は、脳を含めた自分の身体を『愛車』だと思っています。
私たちは、生まれてくる時に乗る車を選ぶことはできません。
しかし、訓練すれば『運転』は上手くなり、必ず目的地に到着できます。
そして、経営計画とは、その愛車でどこへ向かうのか、カーナビに『目的地』を設定する作業なのです」
この「車のたとえ」は、最新の脳科学の知見を当てはめると、恐ろしいほど辻褄が合います。
ここで鍵となるのが「ドーパミン」という物質です。
簡単に説明すると、ドーパミンとは、何かを達成した時に脳内を駆け巡る「快楽物質」のことで、人の「やる気」に直結します。その強烈な作用から、「脳内麻薬」の一つとも言われています。
車で言えば、まさにエンジンを動かす「ガソリン(燃料)」です。
「意欲」の正体は、脳の「燃費の悪さ」
なぜ、ガツガツ努力できる人と、そうでない人がいるのか? 分類の鍵となるのは、このガソリンを受け取る「ドーパミン受容体の感度(脳の燃費)」です。
燃費が良い人(感度が高い): 日常の小さな達成感や安定で満足できる。「これで十分」と感じるため、無理なリスクは冒しません。
燃費が悪い人(感度が低い): 小さな幸せでは脳が反応しません。「もっと強い刺激を!」と常に飢えているため、リスクを冒してでも巨大な成果を取りに行きます。
この「脳のエンジン」と、それを制御する「理性のハンドル」の組み合わせで、人間は大きく3つのタイプに分かれるのです。
人間は、生まれつきこのガソリンに対する「燃費(ドーパミン感度)」が良いか悪いか、そしてそれを制御する「ハンドル(理性)」を持っているかどうかによって、大きく「3つの車種」に分類できるとも言えます。
※ここでお断りしておきますが、私は医師でも脳科学者でもありません。 これからお話しする分類は、学術的な厳密さよりも、「どうすれば人は動くのか?」「どうすれば個性を活かせるのか?」という課題を解決するために、経営的・実用的な視点で再構築した私独自のフレームワークです。
【保存版】3つの脳タイプ・マトリックス
それぞれの車種は、性能も「やる気スイッチ」も全く異なります。ここを履き違えて、エコカーでF1レースに出たり、スーパーカーで渋滞を走らせたりすると、組織は壊れます。
自己分析や部下の育成に使えるよう、特徴をマトリックスにまとめました。
(スクリーンショットを撮って活用してください)

【林流】実務で使える「3つの人間タイプ」
① 天才・狩猟型(Type 1)
該当者: 起業家、トップクリエイター、投資家、そして多くの経営者。
脳の仕様: 「燃費が悪い(飢餓状態)」×「ハンドル有り(理性)」
特徴: 常に現状に不満を持ち、巨大な報酬(ハイリスク・ハイリターン)を求めて突き進むタイプ。ルーチンワークは苦痛でしかありません。
② 努力家・農耕型(Type 2)
該当者: 優秀な実務家、公務員、組織を支えるスタッフ。
脳の仕様: 「燃費が良い(充足状態)」×「ハンドル有り(理性)」
特徴: 変化よりも安定を好みます。「毎日コツコツ積み上げる」ことが苦にならず、組織の守りを固めるのに最適です。
③ 怠惰・享楽型(Type 3)
該当者: 指示待ちの社員、あるいはドロップアウトしそうな人材。
脳の仕様: 「燃費が悪い(飢餓状態)」×「ハンドル無し(理性が未発達)」
特徴: 実は脳のエンジン自体は「天才型(Type 1)」と同じ高出力です。しかし、それを制御するハンドルがないため、手っ取り早い「安易な快楽(スマホやサボり)」にエネルギーを浪費してしまいます。
経営者のための「1:7:2」戦略
現代日本において、この割合はおおよそ「1:7:2」です。
タイプ2の「エコカー」を守る(7割)
組織の大部分の7割は安定を求めるエコカーです。スーパーカーである経営者がやりがちな「全員にイノベーションを求める」施策は、彼らを疲弊させるだけです。彼らには「舗装された道路(マニュアル)」を提供することが、パフォーマンスを最大化する鍵です。
タイプ3の「未完成車」を磨く(2割)
彼らは現状では「不良在庫」に見えるかもしれません。しかし、動機づけさえ間違えなければ、ある日突然「スーパーカー」に化ける可能性を秘めています。なぜなら、彼らは強力なエンジンを持っているからです。倉庫の隅で眠らせておくには惜しい人材なのです。もちろんずっと眠り続けて不良在庫のままの可能性も高いです。「タイプ2(コツコツ努力家)」に矯正しようとしても失敗します。脳の構造が違うからです。
彼らは「エンジンの載せ替え」はできませんが、「ハンドルの後付け(スキルの習得)」は可能です。 つまり、彼らが進むべき道は、真面目な常識人になることではなく、理性を身に着けて「タイプ1(狩猟者)」へと覚醒することなのです。かつての「やんちゃな若者」が、一念発起して敏腕経営者になるケースが多いのは、この「タイプ3からタイプ1への進化」が起きたからです。
3.タイプ1の「スーパーカー」は社長の参謀に(1割)
もし採用できたら、既存の組織(Type 2の集団)に混ぜると浮くし、揉めます。「遊撃隊」として別働隊にするか、社長直轄で動かすのが良いでしょう。
結論:自分の愛車を知り、正しくナビをセットする
私たちは、乗る車を選ぶことはできません。
しかし、自分が乗っている車種と特性を正しく理解し、訓練すれば、誰でも名ドライバーになれます。
正しくナビに目的地を設定すればいつか辿り着くことができるでしょう。
目的地が変わったり、たとえたどり着けなかったとしても、目的地がある旅はきっと有意義で良い景色が味わえるはずです。
もし、あなたが組織の中で「何かが違う」「もっと速く走れるはずだ」という強烈な飢餓感を感じているなら、あなたは「スーパーカー」かもしれません。
そんなあなたが、渋滞の中でブレーキを踏み続けなくて済む世界について。
次回の記事では、私のライフワークである「給料=我慢料じゃない方の世界」についてお話しします。







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